
イメージ画像:旅行宿泊探訪記 作成
こんにちは。旅行宿泊探訪記、運営者のTrekTideです。
青い海に浮かぶ楽園、パラオ。その国旗を見て「あれ、日本の日の丸に似てるな。でも、なんで真ん中の丸が少しずれてるんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?パラオの国旗がなぜずれてるのか、その理由を調べてみると、日本との関係や国旗に込められた本当の意味、さらにはデザイナーは誰なのか、描かれているのは太陽ではなく月だという話など、次々と興味深い事実が浮かび上がってきます。このシンプルなデザインの裏には、実は奥深い物語が隠されているんですね。
(パラオ)関連
この記事でわかること
- パラオ国旗の円がずれている本当の理由
- 国旗に込められた月と国民への想い
- 噂される日本との関係性の真実
- デザイナーや他の似てる国旗について
なぜパラオの国旗はずれてる?視覚効果と本当の意味

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一見すると不思議に見えるパラオ国旗のデザイン。その「ずれ」には、実は計算された意図と、パラオの人々の大切な想いが込められています。多くの人が日本の日の丸と見比べて「遠慮したのかな?」なんて想像を膨らませますが、真実はもっとデザイン的で、文化的な背景に基づいたものなんです。
国旗の丸がずれるのは視覚効果のため
パラオの国旗の黄色い円が中央から少し旗竿(ポール)側にずれている最大の理由は、「視覚効果」を狙ったデザインだからです。
旗というものは、常に風にはためいていますよね。もし円を物理的にど真ん中に配置してしまうと、旗がなびいた時に遠い方の生地が隠れ、円が中心からずれて見えてしまうんです。そこで、あらかじめ少しだけ旗竿側にずらしておくことで、旗がはためいた時に人間の目にはちょうど中心にあるように見える、というわけです。
これは「光学中心(オプティカルセンター)」と呼ばれるデザインの手法で、人間の目の錯覚をうまく利用した、非常に計算されたデザインなんですね。
デザインにおける「光学中心」
人間の目は、図形や空間の物理的な中心よりも、少しだけ上の方を「心地よい中心」として認識する傾向があります。この認識上の中心を「光学中心」と呼びます。パラオの国旗のずれは、左右のバランスを考慮した応用例と言えるかもしれませんね。
黄色い円は太陽でなくパラオの月
日本の日の丸が「太陽」をモチーフにしていることから、パラオの国旗の黄色い円も太陽だと思っている方が多いかもしれません。しかし、これは太陽ではなく「満月」なんです。
なぜ月なのでしょうか?
パラオでは、古くから月が人々の生活と深く結びついてきました。月の満ち欠けは、漁や農作物の植え付け、伝統行事などを行う上で非常に重要な指標だったのです。特に満月は、一年のうちで最も収穫や漁に適した時期であり、お祝い事が行われる特別なタイミングでした。穏やかに海を照らす月は、パラオの人々にとって平和と豊かさの象徴なんですね。
パラオの国旗に込められた本当の意味
パラオの国旗は、その色とデザインに国家としての深い意味が込められています。
- ライトブルーの地: この美しい水色は、パラオを取り囲む雄大な太平洋を表しています。それと同時に、外国の統治から独立を勝ち取るまでの長い道のり(困難の海)を乗り越えたことも象徴していると言われています。
- 黄色い満月: 前述の通り、これはパラオの人々にとって大切な満月です。満月は「平和」「静寂」「愛」の象徴。そして、パラオが主権国家として統一され、自らの道を歩んでいくという強い決意も表しています。
つまり、パラオの国旗は「広大な太平洋に浮かぶ、平和で統一された独立国家」という、国民の誇りと未来への希望が詰まったデザインなのです。
国旗のデザイナーは日本人ではない
日本との関係が深いことから、「国旗をデザインしたのは日本人なのでは?」という説も耳にしますが、これは誤りです。
パラオの国旗は、1979年に行われた国旗デザインコンペティションで、パラオ人のジョン・ブラウ・スキーボング(John Blau Skebong)氏の作品が最優秀賞に選ばれ、採用されました。彼は当時、パラオの裁判所で働いていた人物で、専門のデザイナーではなかったそうです。国民の中から生まれたデザインが、今も国の象徴として掲げられているのは、とても素敵な話ですよね。
バングラデシュの国旗もずれている
実は、意図的に円をずらしている国旗はパラオだけではありません。アジアにあるバングラデシュの国旗も、よく見ると赤い円が少しだけ旗竿側にずれています。
バングラデシュの国旗
緑の地は豊かな大地を、赤い円は独立のために流された血と昇る太陽を表しています。こちらもパラオ国旗と同様に、旗がはためいた時に円が中央に見えるようにという、視覚的な配慮からずらしてデザインされているんですよ。
国旗のデザインには、その国の歴史や文化だけでなく、実用的な工夫も凝らされていることが分かって、面白いですね。
パラオの国旗がずれてると噂の日本との関係

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パラオの国旗にまつわる話で、最も有名なのが日本との関係についての俗説ではないでしょうか。この説がなぜ生まれたのか、そしてパラオと日本の間にはどのような歴史があるのか。ここでは、両国の深い繋がりに迫ってみたいと思います。
パラオ国旗と日本の日の丸にまつわる俗説
「パラオの国旗の円が中心からずれているのは、日本の日の丸に敬意を表し、中心を遠慮してずらしたから」
あなたも一度は聞いたことがあるかもしれません。これは非常に有名で、多くの人の心を打つエピソードとして語り継がれていますが、残念ながらこれは公式な理由ではなく、いわゆる俗説(都市伝説)です。
先ほど解説した通り、公式な理由はあくまで「視覚効果のため」です。しかし、なぜこのような美しい俗説が生まれたのでしょうか。その背景には、パラオと日本の歴史的な絆が大きく関係しています。
日本統治時代から続く深い繋がり
パラオと日本の関係が深まったのは、第一次世界大戦後、1920年から1945年までの日本の委任統治時代です。
当時、日本はパラオのインフラ整備に力を入れました。道路、水道、電気、学校、病院などを建設し、パラオの近代化に大きく貢献したのです。また、日本の教育制度が導入され、多くのパラオ人が日本語を学びました。この時代の政策が、現在のパラオの国の礎の一部を築いたと言われています。
もちろん、統治時代には様々な側面があり、全てが美談だけで語れるものではありません。しかし、当時の経験が、現代に至るまでの両国の友好関係の基礎となっていることは間違いないでしょう。
パラオが親日国である理由とは?
パラオは世界でも有数の親日国として知られています。その理由は、統治時代の歴史だけではありません。
パラオが親日国である理由
- 歴史的経緯: 日本の統治時代にインフラや教育の基礎が築かれたことへの感謝の念を持つ人々が今もいること。
- 戦後の経済支援: 日本はパラオの独立後も、ODA(政府開発援助)などを通じて橋の建設や経済発展を支援し続けています。有名な「日本・パラオ友好橋(通称:K-Bブリッジ)」もその一つです。
- 文化的な影響: パラオの言語には、日本語が由来となった単語がたくさん残っています。「ダイジョウブ」「デンワ」「センキョ」「ベントー」などは、今でも日常的に使われているそうです。
- 国民性: 自然を敬い、家族や年長者を大切にする文化など、日本人と通じる価値観を持っていることも、親近感に繋がっているのかもしれませんね。
これらの理由が複雑に絡み合い、パラオの人々の間に日本への好意的な感情が育まれてきたのだと思います。
日本への遠慮説は公式見解ではない
改めてお伝えしますが、「日本への遠慮説」はパラオ政府による公式見解ではありません。国旗のデザイナー自身も、この説については言及していないようです。
しかし、私はこの俗説がとても好きです。なぜなら、このような心温まるエピソードが自然に生まれてくるほど、パラオと日本の間に強い絆と信頼関係があることの証だからです。
パラオの方に国旗について話す際は、この「遠慮説」を事実であるかのように話すのは避けた方が良いかもしれません。あくまで「日本ではこんな素敵な話として伝わっているんですよ」と、一つのエピソードとして共有するのが良いコミュニケーションかなと思います。
まとめ:パラオの国旗がずれてる理由の真実
今回は、パラオの国旗がずれている理由と、日本との関係について深掘りしてみました。
結論として、国旗の円がずれているのは「旗がはためいた時に中央に見えるように」という視覚効果を狙ったデザイン上の理由でした。そして、黄色い円は太陽ではなく、パラオの人々にとって大切な「満月」がモチーフです。
日本への遠慮からずらしたという説は、公式には事実ではありませんが、両国の長年にわたる友好関係が生んだ美しい物語と言えるでしょう。
国旗一枚のデザインに、これほどの歴史や文化、そして人々の想いが詰まっていると知ると、パラオという国がより一層魅力的に見えてきませんか?次にパラオの国旗を見る機会があれば、ぜひその背景にあるストーリーを思い出してみてくださいね。